
サイズの調整は、チェイサーという錐(Fig14)で行います。
まずこの錐を木靴のちょうど真ん中に置きます。こうすることで穴を適切な位置と深さに彫ることができます。
靴の内部を、足の形(親指のスペースなど。Photo32参照)にくり抜いていきます。
履き心地のいい木靴を作るためには、全行程の中でこの作業が最も重要と言えるでしょう。

足にぴったり合う形に彫るためには、頻繁に採寸をしながら作業を進める必要があります。
この際に使用する物差しには目盛り(多くの場合cm単位)が刻まれており、靴のサイズの他にかかとやつま先の部分の厚みのチェックにも使えるようになっています。

Photo33の靴の場合、かかとの後ろの部分の厚みは2cm、つま先の先端の厚みは3cmです。
つま先先端の厚みは、(外側から測った全体の長さ)-(靴の中に物差しを入れて測定した、靴の内部先端からかかと後端までの長さ)で求めます。
靴の内側の空洞が適切な(たいていは左右同じ)サイズになったら、次の段階に進みます。
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Photo35ではチェイサー錐を使用しています。片方の手で錐の柄をしっかり握り、もう片方の手でハンドル部分を持っています。
この錐を回すことで、効率よく大きな穴を掘ることができます。オランダ語ではこの動きを「schrooien(縄かけ)」と呼びます。
ここからは、靴の内部の空洞をこれ以上長くしてはいけません。同じ錐で靴の中に残っている木くずをかき出します。
このプロセスは相当の力を要するので、Phptp36に見られるように前腕を利用して体重をかけます。

Photo37では、木靴が作業台に固定されている様子と、靴の内部の穴のくり抜き前・くり抜き後の比較がご覧いただけます。
左側の靴には、足を入れる穴がしっかりと形成されています。足の指の形に添った凹凸も見て取れるでしょう。