あとは細かい彫りと整形のみです。第6章で出てきたオブロングナイフをもう一度使用しますが、ここでも使う前に改めて研磨します(photo 48)。
研磨後のナイフは非常にシャープです。このナイフで内部の仕上げを行います。
靴内部のかかと部分を足にぴったりする深さまで彫り進め、余分な部分を削ります(photo 49)。
見た目もすっきりしますし、靴自体が軽くなるため履きやすくなります。
技術が洗練される以前の時代には、この工程を経ずに無骨な形で重たい木靴のまま出荷されることがままあったようです。
次に靴の上部の調整をします(photo50)。
最終的に足首の入る穴部分と、足の甲を覆う靴の上部が、靴の前後それぞれ半分の長さを占めるように仕上げます。
かかと部分の深さにも気をつけましょう。くるぶしよりも下に来るようにしないと靴ずれの原因になります。
かかと部分の深さは、「親指の半分よりも浅く」を目安にすると便利です。
Photo51は、この工程の最後に目視で細部をチェックしている様子です。
サイズ調整の過程でどうしてもある程度の傷や凹凸が生じるため、ここで修正して滑らかにします(photo52と53)。
ここまで来て初めて、足にぴったり合う仕上がりかどうかのチェックができます。
多少の最終調整が必要な場合もありますが、その場合はたいてい椅子や切り株に腰を下ろして、脚の間に木靴を挟んで細かい作業をします。